じゃどうせいかつ

タカノのブログです

豚肉

豚肉が嫌いだった。

 

正確に言うと本当に嫌いなのは肉の脂身の部分なのだが、僕の中では豚肉=脂身という方程式が確立されていたので、一緒くたにして嫌いだった。

 

それゆえ小学校の給食で豚肉が出るとその日は苦痛極まりない日となる。

 

別に残してしまえば問題なかった。うちの学校は絶対に給食を残してはいけないという決まりはなかったのだ。

しかし、残したものを捨てに行くときはそれなりに好奇の目で見られたし、何よりみんなが大好きな豚肉を自分は食べられないということを子供心に気にしていたので、普通に残すことはしなかった。

 

 

ではどうしたか。

まず僕がとった行動は「食べたふりをして隠して捨てる」というものだった。

豚肉が入っている料理が出てきたら、食べたふりをして左手でつかみ、ポケットに入れる。すべての豚肉をポケットに入れ終えたら普通に完食し、食器を片付けたその足でトイレに直行。大のほうに捨てて流す。コンプリート。完全犯罪だ。

 

完璧なプランができたと思って有頂天になっていた僕は豚肉がでるたびにこれを繰り返しては乗り切っていた。しかし所詮は子供の考えること。大人の前では通用しない。なにより先生という職業は子供の変化を察知するプロなのだ。

 

 

「なにやってるの?ポケットに入れたもの出しなさい」

 

戦慄した。

余裕でバレたことよりも、みんなの前でポケットから豚肉を出して説教されたことが大変な屈辱だった。これなら普通に残したほうが遥かにマシだ。

しかし、これだけの屈辱を受けても豚肉は食べたくなかったので次の手を考えた。

 

 

つぎに考えたのは「口に全部入れて捨てよう作戦」だった。

前の作戦からの劣化があまりにも激しいが、アホな小学生の二の矢はこれくらいが限界である。

いちおう説明すると、一旦口の中に豚肉をすべて入れてトイレに行き、大のほうで流すというものだった。

 

我ながら書いていて情けなくなる方法だし、もちろん失敗した。大嫌いな豚肉を口いっぱいほおばって平気でいられるわけがない。覚えていないが普通にどこかで吐いて怒られた。そもそも豚肉をトイレに流していたら、いつか詰まってどのみちバレていただろう。

 

結局それであきらめた僕は、ほかの食べ物と一緒に口に入れて我慢して飲み込むという方法を確立し、小学校時代の給食を乗り切ったのである。

 

 

 

今?

上京して食べた「すた丼」が美味すぎて、それ以来普通に食べられるようになったよ。

 

人間は食べ物ではなく情報を食っている。